技能実習制度の仕組み

技能実習制度とは

外国人技能実習制度は,開発途上国へ日本の有する産業技術を移転し,その国の発展に寄与するという名目で,1993年に新設されました。

技能実習生という身分で入国させ,一定の技術を取得した後,受入れ企業と雇用契約を締結し,実務経験を積ませるというものでした。

2009年7月15日公布2010年施行の改正入管法において,技能実習という在留資格が創設され,初めて法律上の制度とされました。

この法律は,外国人労働者が,技能実習生という資格で入国し,最初から労働者という地位で使用者と雇用契約を締結し,途中で技能実習1号から技能実習2号に移行することで3年間日本で働くことができる制度でした。

2016年11月18日には,2010年から施行されている上記の入管法の在留資格である技能実習生をベースに,「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)が制定されました。

この法律のタイトルに,「適正」,「保護」という言葉が用いられていることは,この制度に,技能実習生という外国人労働者を,時給300円といったような低賃金で働かせ,パスポートの取り上げ,強制貯金,パワハラ,セクハラなどの外国人労働者の人権を無視する構造的な欠陥が内包されていたからです。

この技能実習法は,こうした欠陥をなくすために,技能実習制度の拡充と,技能実習生の保護や受入れ企業に対する管理体制を強化する目的で,入管法から独立した法律として制定されたものです。

その際,技能実習3号の在留資格を新設し,技能実習生の在留期間も3年から5年に延長されました。

そして,技能実習法が適正に実施されるために,「外国人技能実習機構」という認可法人が新設されました。

技能実習生を受け入れる方法

技能実習法の下における技能実習制度には,企業単独型と団体管理型の2つのタイプがあります。

企業単独型は,日本の企業が,海外にある子会社や一定規模の取引実績を有する大口取引先から職員を受け入れて技能実習を行うものです。

団体監理型は,各地にある商工会や中小企業団体,農業協同組合,漁業協同組合,職業訓練法人等の団体が,技能実習生を受け入れて,これらの団体に属する企業等が技能実習を行うものです。

現在,行われている技能実習は,全体の90パーセントが団体監理型のものです。

団体監理型の技能実習において,商工会や中小企業団体のことを「監理団体」といいます。

又,この監理団体に属して,実際に技能実習を行う企業や個人のことを,「技能実施者(実習実施機関)」といいます。

技能実習生を受け入れるにあたっては,監理団体及び実習実施者において,「技能実習計画」を作成しなければなりません。

そして,この「技能実習計画」を外国人技能実習機構に提出して,それらの技能実習が適正であるか否かの認定を受けなければなりません。

技能実習の対象職種,作業は限定されており,特に2年目以降(技能実習2号・3号)は,77業種,139作業(2017年12月現在)に限定されており,技能実習生をこれ以外の作業に従事させることはできません。

技能実習生は,ベトナム,フィリピン,中国等の送出国の送出機関を通じて来日の手続きをし,わが国に入国します。

入国後に,日本語や技能実習生の法的保護に必要な情報について,1か月から2か月程の講習を受けることになります。

その後,実習実施者における技能実習が開始されますが,実習実施者は,生活指導員,技能実習指導員を選任して,技能実習内容,生活面での指導をしなければなりません。

さらに,監理団体も,技能実習生を受け入れた後も,技能実習の全期間を通じて実習実施者が適正に技能実習をさせているか確認し,指導しなければなりません。

又,実習実施者に対する定期的な監査をしなければなりません。

技能実習生は,来日後,まず技能実習1号の在留資格で滞在します。

技能実習1号の在留期間は1年で,技能実習1号終了時に技能検定基礎2級等に合格すると,技能実習2号へ移行することができます。

この場合,技能実習1号で滞在していた期間とあわせ,最長3年まで技能実習生として日本に滞在することができます。

さらに,技能実習法により,技能実習3号が新設され,技能実習の最長期間は5年となりました。

技能実習生が技能実習3号を取得するには,実習実施者が優良で,技能実習生が所定の技能評価試験の実技試験に合格した場合となっています。

実習実施者が優良であるか否かは,技能実習生の技能検定等の合格率,技能実習指導員,生活指導員の講習受講歴,技能実習生の賃金の昇給等の待遇,支援体制等の要素について判断されることになっています。

当事務所国際部がサポートできること

当法律事務所国際部には,弁護士資格を有する者の他,取次ぎ行政書士資格,社会保険労務士資格を有する者が存在し,中小企業が技能実習生を受け入れる場合のあらゆる事務を国際部で代行することが可能となっています。

そして,当事務所は,労働法の諸法規,入管法,技能実習法についても精通しており,皆様方からのあらゆるニーズに対応することができます。

当事務所国際部は,これらの手続事務やコンサルタント業務を適正な料金で実施していますので,ご相談いただければ幸いです。

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