Q21 株式会社の重要な決断は社長の意思のみでできるの?

※例
私は資本金1000万円の冷蔵倉庫業を営む株式会社の代表取締役をしていましたが、70歳になり長男にその地位を譲り、平の取締役になりました。

しかし、長男の経営は杜撰で、先日、株主総会は勿論ですが取締役会の承認を得ずに独断でA社に冷蔵倉庫を売却してしまいました。冷蔵倉庫は会社の主たる営業資産でありまして、今後の会社の経営に重大な支障を生じます。

どうしたらよいでしょうか?
本件の場合、A社に対する事業承継ではありませんので、株主総会の特別決議は必要ありませんしかし、会社法では重要な業務執行につきましては代表取締役にその決定を委任できないとされていますので、会社にとって重要な財産に該当する資産の譲渡行為は代表取締役の意思のみでできず、必ず取締役会の決議を経なければなりません。

あなたの会社は冷蔵倉庫会社なので冷蔵倉庫がなければ経営を続行することができなく
なると思われますので、A社への売却は重要な財産の処分にあたります。
従って、取締役会の決議を経なかった冷蔵倉庫の売却は無効ということになりますが、A社に対しましては、原則的に無効を主張できません。

会社法上、代表取締役は、業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有することになっており、最高裁判例(最判昭和40・9・22)は、相手方(A社)が取締役会の決議を経ていないことを知っていたか、過失によって知らなかった場合にのみ、無効であるとして、第三者を保護しています。

本件の場合、A社に上記の事情が存在すれば冷蔵倉庫の売却は無効になりますが、そうでなければ有効となってしまいます。このような事態が発生しない為にも取締役会設置会社では会社法の規定どおり定期的に取締役会を開催し、取締役の合議で会社の経営をする必要があります。

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