外国人の従業員を転職で採用する際,会社が注意すること

日本で働く外国人が転職をしたいということで,あなたの会社に雇用して欲しいとのオファーがある場合があると思います。

この際注意したいことは,主として次の点です。

1  会社の採用担当者は,外国人から就労資格証明書を提出してもらうこと。

就労資格証明書が,地方の出入国在留管理局から,その外国人に交付されて

いることがあります。

これには,「外国人の氏名と国籍,生年月日,在留資格(在留期間),行う

ことのできる就労活動の具体的内容,就労することのできる期間」が記載さ

れています。

会社の採用担当者は,外国人から履歴書や経歴書を提出してもらうこと

は当然ですが,この就労資格証明書を提出してもらうと,この外国人の採用

が合法的であるか否かが一目瞭然になります。

但し,この就労資格証明書は,全員が所持しているものとは限りませんの

で,ないようでしたら,その外国人に取得してもらえばよいと思います。

そうすれば,在留資格の更新手続に際しても,手続きが円滑に進みます。

2  次に,在留資格の確認をする必要があります。

あなたの会社で外国人を雇用したいと考えた場合,外国人がどのような内

容の在留許可を有しているかが大事です。

この在留資格は,外国人が合法的に日本に上陸し,滞在し,活動すること

のできる範囲を示したものであり,入管法で現在30種類の在留資格が定

められています。

この在留資格を有していることの証明書となるのが,「在留カード」であ

り,外国人を雇用する場合,この「在留カード」を見せてもらう必要があり

ます。

留学生は,「留学」という在留資格を有していますし,会社で働いている

場合,「技術・人文知識・国際業務」等の就労することのできる在留資格を

有しています。

適切な在留資格がなければ不法滞在になってしまいますし,在留資格が

あっても,自由に就労することはできませんし,在留資格が認める範囲内で

就労することができ,それ以外は不法就労ということになります。

外国人を採用する場合,どの在留資格に当てはまるのかを確認し,学歴の

証明や能力の担保が必要になります。

手続に不備があれば,その外国人を自社に転職させることはできません。

この意味で在留資格の確認はとても重要です。

3  在留資格を確認した上で,在留資格の変更が必要な場合もあります。

「留学」の在留資格の外国人が,あなたの会社で就労したいという場合,

「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格に変更しなければならないこと

は言うまでもありません。

又,就業の在留資格を有する外国人が,転職前の職務内容と異なる職種に

就く場合,在留資格の変更申請が必要となります。

仮に,あなたの会社で採用したい外国人が,「技術・人文知識・国際業務」

の在留資格を有していたとしても,あなたの会社が,その外国人を単純労働

に就かせる場合,在留資格の変更は難しくなると思いますので,留意が必要

です。

4  次に,在留資格の更新が必要なケースもあります。

在留期間が迫っている場合,在留期間の更新が必要となります。

この場合,外国人は勿論のこと,転職先であるあなたの会社も,地方の出

入国在留管理局の審査の対象となります。

仮に,あなたの会社の経営状態や業績等が悪いという場合には,在留期間

の更新許可が下りないこともありますので,注意しましょう。

在留期間更新申請の審査結果が出るまでに,早くて2週間か,遅くて1か

月から2か月の期間が必要となりますので,余裕を持って申請する必要が

あります。

転職してくる外国人のために,あなたの会社が在留期間の残り期間を把

握しておくことはとても重要になります。

転職に際し,外国人が,就労資格証明書の交付申請をすることは,別に在

留期間変更申請が必要になるとはいっても,審査の期間を早めることにつ

ながりますので,採用後に,外国人に就労資格証明書を取得してもらってお

くことは必要だと思います。

このようにしておけば,既に転職に関する審査は完了していると同視さ

れ,その後の在留期間更新の審査は簡素になり,円滑に許可を受けることが

できるからです。

5  最後に,在留の資格の取消し制度にも注意する必要があります。

在留資格の種類に応じた仕事などをしないまま3か月以上(一定の在留

資格については6か月以上)が経過した場合,在留資格の取消しがされる場

合があります。

例えば,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で行うことのできる仕

事をしないで,3か月以上経過した場合には,在留資格が取り消されます。

但し,正当な理由がある場合には,在留資格が取り消されません。

例えば,前の会社を退職して,転職する場合,求職活動をしていれば,正

当な理由として認められます。

外国人があなたの会社に勤務したいと申し出があった場合,会社の採用

担当者は,仕事をしなくなって3か月以上が経過していないかどうかを確

かめる必要があります。

そして,3か月以上経過している場合には,その外国人が真面目に求職活

動をしていたかも確認する必要があります。

そうでない場合,正当な理由がないことになって,在留資格が取り消され,

あなたの会社でも就労できない可能性があるからです。

その外国人が前の会社で解雇された場合にも,自ら退職した場合と同じ

ですので,注意が必要です。

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