日本の大学を卒業した留学生の就職活動について

昨日,当事務所主催の外国人人材活用セミナーに参加していただいたAホテルの採用担当者様から,次のようなご相談がありました。

 

「静岡県内の大学に留学し,この3月,経営学部を卒業したBさんが,当ホテルに就職したいとの申入れがありました。Bさんの在留資格は,『留学』から『特定活動』に変更されています。当ホテルは,Bさんをフロント業務として採用したいのですが,どのようなことに注意したらよいですか。」

 

留学生で,日本の会社に就職を希望する者がいます。

在留資格「留学」の在留期間が満了してしまうと,日本に在留する根拠がなくなってしまうため,日本での就職を希望する者は,「特定活動」の在留資格に変更しなければなりません。

Bさんも,就職活動を継続するために,在留資格を変更したものと思います。

この「特定活動」は,法務大臣が指定した活動に制限されますが,その1つとして,継続して就職活動をする大学生,専門学校生があります。

大学に留学した大学生が,卒業前から行っていた就職活動につきまして,卒業後も継続して行う必要がある場合,「特定活動」の在留資格に変更が認められれば,就職活動を継続することができます。

Bさんは,この在留資格でAホテルに就職を希望してきたものですから,合法です。

Aホテルは,Bさんをフロントとして採用したいとのことですが,これはどうでしょうか。

出入国在留管理庁の,「ホテル,旅館業において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」との文書は,宿泊客の荷物の運搬,客室の清掃業務,レストランの配膳作業等が主たる業務であれば,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は該当しないものと言い切っています。

これからしますと,ホテルのフロント業務は,一応許されることになりますが,それでも,大学で学んだ知識とフロント業務とのつながりが必要になります。

Aホテルには,最近,外国人のお客さんの宿泊が多くなり,外国の文化や日本の文化に精通し,しかも英語や日本語の堪能な外国人は,必要不可欠な人材だということです。

Bさんは,経営学部を卒業し,会社のマネージメントも学んだということですから,その知識と,語学を活用してのフロント業務との間には関係があると言えるのではないでしょうか。

いずれにしましても,BさんがAホテルに就職するには,在留資格を,「特定活動」から,「技術・人文知識・国際業務」に変更することが条件になります。

その審査にあたっては,フロント業務とはいっても,Bさんの業務は,実質的には,不許可事由にあたる単純労働ではないか,Bさんの,大学で学んだ知識と,フロント業務との間には関係があるか否かが重視されますので,Aホテルは業務の内容をはっきりと明示する必要があります。

地方のホテルでも,今や国際化が進み,フロントにも多様な人材を配置する必要がありますので,Bさんのような方の存在は頼もしいといえます。

しかし,出入国在留管理庁の在留資格の審査は,なかなか厳しいものがありますので,外国人人材の採用を考えている経営者様は,まず,当事務所にご相談下さい。

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