経営者の保証と特定調停スキーム

経営者の保証と特定調停スキーム

 

当事務所のホームページでもお知らせしましたが、2013年3月に中小企業金融円滑化法が終了し、アベノミクスが好調にスタートしているといえない現状では、わが国で、抜本的な事業再生を要する中小零細企業は、10万社とも言われています。

 

静岡県内にも、苦況に陥っている中小零細な会社は、かなりの数があり、当事務所にも多くの悲痛な経営者の皆様方の声が寄せられています。

 

その多くは自己破産の申立てをせざるを得ないのですが、もっと前に相談していただければ、簡易裁判所における特定調停手続を利用し、さらに、2013年12月に策定された「経営者保証に関するガイドライン」を用い、企業の再生ができたのではないかと思われる事例も少なからずあります。

 

私たち弁護士の所属する日本弁護士連合会は、「金融円滑化法終了への対応策としての特定調停スキーム利用の手引き」を作成し、特定調停申立書などの書式と共に公表しています。

このスキームによる運用の対象は、「経営困難な状況に陥り、本格的な再生処理が必要となる中小企業のうち、比較的小規模な企業の再生を支援する。」ということでありますので、静岡県内の多くの中小零細な会社が利用できることになります。

 

この「手引き」には、最低でも約定金利以上は継続して支払える程度の収益力があることとされていますが、勿論、過去に約定金利が支払えなくなったことがあっても利用ができないということではありません。

 

又、会社の経営改善計画案に金融機関の事前の同意が見込まれることも大切な要素になっていますが、この同意がないからといって特定調停の申立てができないわけではありません。

さらに、会社の債務と経営者の保証債務も一体として審理されるため、金融機関の事前の同意が見込まれることが期待されますが、これもあまり厳格に考える必要はないと思います。

そして、利用が想定されるケースは次のものが考えられます。

1 債務一部免除・残債務分割弁済型

一定期間の弁済可能な債務を残して残りは債務免除すると言う内容です。

このケースが基準となるものと思われます。

 

2 債務一部免除・事業譲渡型

同業他社へ事業譲渡するけーすや、スポンサーからの資金提供による第2会社を設立し第2会社に事業譲渡するケースなど、事業譲渡(会社分割)を実施し、その代金をもって弁済を実施し、残債務は免除してもらうケースです。事業譲渡会社は、弁済後に通常清算手続を行うことが予想されます。

 

3 債務一部免除・事業承継型

事業譲渡時において、過大な負債を一部免除してもらう手段として利用される場合です。

 

4 他の私的整理手続(中小企業再生支援協議会等)との組み合わせ型

金融機関のすべてから同意が取りにくい事例において、民事調停法17条決定を利用するために特定調停を併用する運用が考えられます。

 

中小零細会社経営の場合、経営者は、金融債務について、ほとんど保証をしていますが、あきらめることはありません。

単なるリスケジュールによる延命ではなく、抜本的な債務免除も要請し、会社を存続させ、又、経営者の保証債務もカットさせることによって、経営者自身の延命も図らなければなりません。

その意味で特定調停制度の意義は大きく、「経営者保証に関するガイドライン」もその手続の中で活用されなければならないと思います。

 

当事務所は既に40年以上の歴史を有し、過去、中小零細企業の再生実務にもかかわってきています。

中小零細会社の経営者は1人で悩まず、まず、当事務所の弁護士にご相談下さい。

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