Q22 株式会社の社長の勝手な借り入れを防ぐことはできる?

※例
私が取締役をしているビルの清掃を営業目的とするA株式会社は、資本金が3000万円で、直近の貸借対照表上の資産の総額は4000万円です。毎決算期の利益は赤字にならない程度でほとんどなく、銀行からの借入金も1億円程あります。

A社は私以外に2名の取締役がおり、その内のBが代表取締役をしていました。Bは何かと独断的で、先日、取締役会の承認を経ることなくC銀行から3000万円の借金をしてしまいました。ほとんど利益をあげていない現状では3000万円の元利金の返済は苦しくA社の経営を圧迫することになります。

どうしたらよいでしょうか?
会社法ではQ21の重要な財産の処分及び譲受けと共に、多額な借財などをあげて、取締役会専権事項とし、個々の取締役の決定に委任することができないとしています。

本件のC銀行からの3000万円の借金がA社にとって多額な借財ということになれば、A社は取締役会の決議のないことを理由に無効が主張できる余地があります。

多額な借財にあたるか否かの判断は、判例上、当該借財の額、その会社の総資産及び経常利益等に占める割合、当該借財の目的及び会社における従来の取扱い等の事情を総合的に考慮してなされるべきだとされています。

本件のA社は資本金が3000万円、総資産が4000万円あるとのことですが、既に銀行からの借入金が1億円程度もあり、毎期の利益もほとんどないとのことですので、前記判例の趣旨からしますと、3000万の借金でもA社にとっては多額な借財ということになり取締役会の承認が必要になるものと思われます。

従がいまして、A社はBが取締役会の承認を経ることなくC銀行から多額の借財をしたとして、同銀行に金銭消費貸借契約の無効を主張できますが、この場合もQ21と同じくC銀行が取締役会決議のないことを知っていたか、過失によって知らなかった場合にのみ限定されます。

い ずれにしましても、他の取締役に内密にした多額の借財は会社にとって有用な行為に使われることがありませんので、このようなことのないよう零細な株式会社 であっても、会社法の規定するとおり取締役会を定期的に開催し、取締役間の意思を一致して経営にあたらなければなりません。

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